米国でビジネスを展開される場合、多くの取引は、クレジットカードや銀行振り込みにより入金を得る場合がほとんどだと思いますが、もし、1万ドル以上の「現金」を受け取る場合は、注意が必要です。といいますのは、IRS(米国内国歳入庁)及びFinCEN(金融犯罪取締ネットワーク)は、1万ドル以上の現金を受け取る取引について、受領後15日以内に「Form 8300」をIRSに提出することを義務づけているからです。これは、連邦政府が金融犯罪の防止を目的とした重要な措置となります。今回の記事では、このForm 8300について解説していきます。
報告義務がある取引
この報告義務は、商品やサービスの売上、固定資産の売買、ローンの返済、分割払いでの購入、経費の精算、不動産の賃貸、現金交換、信託への拠出金など、ビジネスに関連する様々な現金取引に適用されます。重要なのは、これらの取引が分割で行われた場合でも、1年以内に同一の購入者から受け取る現金の合計が1万ドルを超えれば報告が必要となる点です。
ただし、個人間の取引、例えば自家用車の販売など、ビジネス目的でない場合はこの規則の対象外です。
この報告は、現金を受け取った事業主だけではなく、支払いを行った顧客にも関連しています。その理由としては、取引の相手方である顧客がIRSに対して所得として現金を報告していない可能性があり、それが監査の対象となることがあるからです。すなわち、意識せずにこのような顧客から現金を受け取ると、IRSから脱税の疑いを持たれるリスクが生じます。
1万ドル以上の現金取引報告を怠った場合のペナルティ
Form 8300の提出を怠った場合、刑事罰や民事罰、罰金が課される可能性があります。2023年度の基準では、意図的に提出しなかった場合、1件につき290ドルの罰金が科され、年間で複数の違反を犯した場合、最大で3億53万2500ドルの罰金が課される可能性があります。罰金額は経済状況により増減があり、また、所得額によっても変動します。
まとめ
米国でビジネスを展開されているビジネスオーナーの方が、現金取引に関する義務を理解しやすくするため、そしてIRSへの報告を怠らないようにするため、武曾会計事務所では、Form8300に関するご相談を受け付けておりますので、ご興味のある方は、お問い合わせください。
Form8300のダウンロードは、こちら:IRS Form8300
1万ドル以上の現金取引は、可能な限り避けるか、適切に報告することが賢明です。適切な申告と透明性は、ビジネスの信頼性を高め、法的リスクを避けるために必要不可欠と言えるでしょう。